パイプ・オルガン建造の経緯

板宿教会現教会堂は1987年、当時の教会員の熱心な祈りと献金により、ヴォーリズ社設計、竹中工務店施行により建築された。当時、新しいオルガンを導入する財政的な余裕はなく、リードオルガンを継続利用することとしたが、床材にはザ・シンフォニー・ホールと同質のコルク材が用いられ、良質の音響の礼拝室が備えられた。

2003年に天に召された兄弟の御遺族が次期オルガンのために多額の献金をして下さったことをうけて、小会(教会役員会)は諸般の状況を慎重に検討し、パイプ・オルガン導入の可能性をも視野に入れて、2005年2月、「オルガン委員会」を発足させた。同委員会は、研修と討議を重ね、パイプ・オルガンが礼拝、賛美を豊かにすること、伝道のよき手段になりうることについて大多数の理解の一致に進み、マルク・ガルニエ氏らと懇談を重ね、提供された資料により、候補機種の選定を続けた。この間に、鈴木雅明東京芸術大学教授(バッハ・コレギウム・ジャパン音楽監督、東京恩寵教会オルガニスト)は板宿教会で講演してくださり、また、助言もして下さった。また、太宰まり関西学院大学講師は、関西学院大学でパイプ・オルガンとエレクトーンの弾き比べをして下さり、訪れた有志会員・役員に、それぞれの音色を確かめる機会を与えてくださった。

2007年9月2日、オルガン委員会は、小会に対してパイプ・オルガンかポジティブ・オルガンを候補機種とする「オルガン委員会答申」を提出した。小会はこの答申を受けて、協議を重ね、2008年度から3年間、募金することを決定。2009年9月13日「3ストップ プルダウン ペダル付きパイプオルガン」購入を決定した。2011年11月22日に教会にてオルガン建造作業が開始され、同年12月5日、完了した。小型のオルガンであるが、教会堂に調和した最高の音を求めて、ガルニエ工房と教会員の熱い祈り、貴い献金によって、「世界にただ一つのオルガン」が建造された。

工房からの説明

MARC GARNIER

プロジェクトについての哲学

数年以来、楽器としてオルガンの人気はますます高まってきています。世界的に次のようなことが見受けられます。つまり新しい若い世代のオルガン文化への関心の高まりや熱心な関与などです。この状況はオルガンへの関心の2つの方向を含んでいます。それは文化とコミニュケーションであり、我々の今日の生活の様々な領域で気付くことができます。

確かに基礎として宗教的な表現形式として教会音楽は存在し続けることでしょう。しかしオルガンの公演場所が、音楽大学やとりわけコンサートホールのように一般的で世俗的な場所へと移ってきていることも確認できます。私共の課題の第一の目標はこのような状況から生じていますが、オルガンが教会に存在し続けることを皆様に提案していくことです。

今までは価格に対する問題があり電気オルガンで代用することができると願ってきましたが、教会音楽や会衆讃美の伴奏にはパイプオルガンが相応しいという答えを確信するようになってきています。これに関して私共の基本的な願いは、皆様に楽器、又は、次のように言った方が良いでしょうか、非常に質の高い礼拝への理解のための`道具`を皆様に提案することにあります。コンセプトは歴史的一バロックで、少ないストップ数ではありますがオルガン作品全般と最高の芸術的な接触を持つことを維持し可能にすることです。このプロジェクトの本質的に特別である点は、皆様の礼拝と文化的な課題の意向に応えるというところにあります。


音楽的コンセプト
私共は、少ないストップ数で最大限の効果を達成できるよう、設置場所一環境一音響と予算について成果の高い関係を検討いたしました。設置場所が基本的に大変重要となります。このプロジェクトは礼拝、会衆讃美歌の伴奏を中心目的に置き、また小さなコンサートも可能であるものを提案致します。プロジェクトの方向としてはドイツバロックのオルガンで、特に8世紀のオルガン建造家の作品です。このプロジェクトにおいては最小限のストップで最大限の成果を達成するでしょう。パイプの整音は設置場所で行うことにより、楽器に最適な音楽性を与えます。


一般的記述

ケース
これはオルガンの重要な構成要素のひとつで、内部(風箱、パイプ等)を支えています。ケースの前面と側面にはナラ材を用い、後面はトウヒを用います。それは最良の共鳴を得るためにです。仕上げには天然の蜜蝋を3度塗り磨き上げます。構造はほぞ組み、鏡板など良き伝統的な指物技術を用いてつくられています。前面パイプの上部の透かしは菩提樹を彫り金箔を施してあります。ご参考のために私共の楽器のいくつかの写真をご紹介致します。

パイプ
パイプは適切な合金比と加工法で製作されます。いくつかの低音部のパイプは木製になります。パイプの寸法は会堂の音響と礼拝での会衆讃美伴奏の使用に基づいて算出します。合金比はストップの種類に応じて錫が3%から99%となります。これらの数値は後に設置場所で決定されます。フルー管の口切りは組立て時に設置場所で行います。

キーアクション
鍵盤にはツゲと黒檀が用いられます。ローラーボードは錬鉄と他の部分には木でつくられます。使用される錬鉄は化学溶液に浸け防錆処理がなされます。手鍵盤アクションは吊り下げ式(押し下げ式)となります。トラッカーには年輪の細かいトウヒを用います。

風箱
スプリングチェストでつくられます。私共はこのタイプの風箱を30年来製作してきましたが気候の変化の大きい場合、特に日本などで利点は大きいです。それらは優れた針葉樹で製作され、バネはステンレスとイノックスでつくられます。この風箱はケースの支持の上に置かれることによりケースとの効率の良い音響の結合が作り出せます。

ストップアクション
トラッカーは鉄、あるいは木でつくられ、メカニック様式です。ストップ回転棒は設計段階で内部の広さに応じて木材で作るか、鉄で作るか決められます。ストップアクションは操作が滑らかで音がしないように配慮してあります。

送風系
適正な大きさの電動送風モーターと木製の送風管からなります。この送風管には風の雑音が抑えられるよう緩衝材が取り付けられています。オルガン内に場所を設け襖形ふいごを設置します。

整音
整音作業は常に設置場所で始められます。音響に適するようにオクターブごとに基準となるパイプを作り上げ、それをもとにその他のパイプを準備していきます。それらは最良な
音の響きが得られるよう、設置場所の音響の中でまず口でパイプを吹きながら、整音をしていきます。閉管パイプは全て蓋でハンダ付けされます。調律法は全ての調での演奏が可能なプログレッシフにします。この調律法は全ての調が各々美しく響き、また楽器の音楽性を支えます。






マリオーソ

J.S Bac

コラール前奏曲「いずこのいえにも」

F.W Zachan

コラール前奏曲「神は我がやぐら」

J.F Schwenche

コラール前奏曲と変奏

「我が心よ、目覚めよ」
J.Pachelbel

2013年コンサート

2011年クリスマス・コンサート